胸騒ぎのパソコン

 先に書いておくけど、リンクした記事の内容と本文とでは殆ど関連性が無いです。


お気楽モバイルカウボーイ - VGA化した携帯電話はノートパソコンになれるか?
http://plusdblog.itmedia.co.jp/mobilecowboy/2006/03/vga_c631.html

しかし、PC-9801になると、ディスプレイの大きさは全く同じでも、解像度が640x400ドットになって、正方形の漢字を美しくしかも細かく表示することが出来るようになりました。

16x16ドットの漢字フォントを40文字×25文字が表示できるようになって初めてPC-9801は実用コンピュータへの一歩を踏み出したのです。

 ここを読んで、当時僕が使っていたPC98の画面を思い浮かべてみた。そして、思い浮かべただけで、なんだか妙なワクワク感を思い出してしまった。すさまじい懐古感ではあるけど、あの時の僕はパソコン(敢えて今のPCとは分けてそう呼ぼう)を使う事自体に面白さを感じていたのかもしれない。

 パソコンの電源ボタンの重さ、入れたときに鳴る「ピロッ(↑↓)」という音、妙にギラついたドットで書かれた無味乾燥なメッセージで立ち上がるMS-DOS、そして当時一世を風靡していた(と思いたい)ファイル管理システム「FD」の画面。ちょっと不親切だからこそ乗りこなすと嬉しいし楽しかったんだよなー。

 しかし、だからと言って今のPCが嫌いかと言われればそうではないし、むしろ使いやすくて感謝するくらいだ。ただ、既にPC98ユーザーだった期間よりもWinユーザーとしての歴史が長くなっていることもあり、さすがに画面見ただけでときめくということはもう無い。時間を重ねるごとにそういったときめきは薄れるものだよね。

 加えて、パソコンを使ってた頃は「これからどんどん使いやすくなる分野なのだ」という夢を常に持ち続けていられたこともある。ショートカット設定やバッチファイルの作成により、少ない手順で欲しい結果を得られるようになったものの、もっとビジュアル的に解りやすくて効率のいい、素晴らしいシステムがやってくるのだろうと夢を描いていたのだ。その夢を一手に背負っていたのが僕にとってのマッキントッシュ、そしてMacOSだった。知人の家で実機を触らせてもらったときの衝撃はすごかったなあ、ついさっきまでマウス使ってグラデーションをドット単位で打ち込んでいたのに、その直後に「ペインター」の水彩ペンを見せつけられたらちょっとしたトラウマですよ、もうラップスキャンなんてやってられるかと。
 それと比較すると、Winは現時点で自分のやりたいことを概ねカバーしてしまっているのであまり不満がないなあ。どっちかってーと、筐体デザインとか携帯電話との連携とかネットの可能性とかを考えるほうが先かなと。

 そう考えると、無茶なたとえだけど、僕にとってパソコン時代は「作り方無限大のレゴ」だけど、今のPCは「とても便利なノートと鉛筆」って表現でいいのかもしれない。おもちゃを使って遊びながら表現してた頃を過ぎ、どこにでもある道具で遊べないか模索するような印象に変化していったのだろうなー。

 そういった事もあって、たとえば他人のPCのセットアップを頼まれたり、新しいソフト(市販・フリーを問わず)の導入の際は、面倒だなーなんて思いつつもどこかワクワクするのである。こう、今この手で新しいシステムを作り上げてます!という手作り感というのかな。実際にはインストーラに従ってるだけなんだけどさ。
 逆に、既に出来上がったシステムをいじるのは苦手かもしれん。自分のマシンならともかく、人のマシンで作業しなくてはならなくなったときは、なにか居心地の悪さを感じるのであんまり楽しくないんだよね。
 あと、プログラミングやネットワーク関連のソフトなどを導入する際には、全く知らない世界の事なのでネットで文献等を探してちょこちょこ勉強する。んで、実際に導入できたときの快感もたまらない。短時間で解った気になるのはいけないこと、と思いつつもこういうのを時々やるのが楽しいんだわ。



 ところで、パソコン通信時代の方が今よりもネット利用者の熱量が高かったんじゃないか?という話題についてを以前に触れたけれど、あの時ネットに接続することがすごくワクワクした体験だったっていう印象は、もしかして「テレホ時間だけ楽しめる趣味」だったからなのかなーと思った。毎週観てる番組があって、その時間帯になるとテレビの前で思わず正座しちゃうのと同じような感覚か。

 インターネットは、携帯電話の普及もあって、いつでもどこでも接続できる環境にある(いや、地方だと電波届かねーじゃんっていうのはナシですよ) それだけに「つねに一緒な技術」で、ありがたみは普段感じないけどとても便利、っていう意味ではさっきのパソコンとPCの印象の違いと被るかなーと思う。