誰にとって必要性があるのやら。





「ダラダラ長いからCD売れない」――丸山茂雄“47秒・着うた専用曲”の必要性を語る

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0704/06/news089.html





 247ミュージック代表の丸山氏が、音楽の現状の閉塞感と今後の着うたのことについて語った記事。かいつまんで書くと「最近の曲は長すぎる。これからはCDではなく着うたで曲を聴く時代が来るのだから、47秒で収まる曲で勝負していくべきだ」といった感じの内容になっておるよ。で、僕はこれにはやはり違和感を感じるなあ。





 まず、曲が長くなった理由を『それがカッコイイ・流行だからとみんな右へならえになっている』という説明におさめていること。このへんの感覚がまったくわからない僕にが問題があるのかなー。あれってみんながみんな「この分数じゃないとダメなんだ」って思ってるわけじゃないよね? 売れる曲は5分なんだぜ!っていう法則があるわけでもないよね?(プロじゃないので当然解らんのですよ) 僕がやってるよーな曲の場合、繋ぐ時間もあるから少し長めな方が使いやすい、っていう理由があるんだけど。何か具体例が出ているとより解りやすかったんだが。

 ただ、同意できる面もある。ここ十年くらいのポップスの基本構成は「イントロ/(Aメロ・Bメロ・サビ)×2/Bメロ・サビ」みたいな感じなんだけど、そこまで長くする必要はないだろうと思う曲もあるよねえ。短い曲でインパクトのある構成のほうが覚えやすいだろう、という考え方は正しいと思う。



 曲の長さ、ねえ。極端に言えば昔のプログレなんて数十分とか異様に長い曲も普通に存在した(これはクラシックとロックの融合、みたいなテーマもあったのかもしれないが) 僕はEL&Pの「恐怖の頭脳改革」に収録されている「悪の教典」は好きだけど、たしか3楽章17分とかあるんだよねー。

 でも、曲の長さをとって「カッコイイ」って言ってた時代なんてあったのか?というのが正直な感想。徐々に長くなっていったのであまり意識はしてなかったけど、気が付いたら20年くらいで3分ちょっとから5分くらいが標準になってるよーな気がする。要するに曲の長さなんてそんなもんじゃないかな。クラブミュージックみたいに、色んな用途があるので長くなっているってジャンルも無くはないだろうし(テクノで言えば重ねが面白くなるような箇所とかねー)



 他に気になるところとしては、「サビで突然『ラララララー』とメロディーが付き、みんな手を振ってそこだけ歌う。」という発言があるけど、これは単純にみんなで盛り上がりたいところだから一緒に歌うんじゃないのか? 昔の歌声喫茶みたく、最初からみんなで歌い続けるスタイルのカラオケなんて、少なくとも僕は今のところ出くわしたことがない。どっちが一般的なんだろ?



 これまたよくわかんないのが「サビだけキャッチーなのをやったら、よく分からないものになってしまう」という発言。そんなんばっか作る人は、要するに着うた向きじゃないってことなのでは・・・。

 サビ以外にもキャッチーな部分がある曲は結構あるよねえ。ロックで言えばディープ・パープルの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」やTレックスの「20thセンチュリーボーイ」は、オープニングのギターを聴けば「あの曲だ!」というのが解るはず。そういうところを着うたにするのが普通だと思うんだけどなあ。なんでそういうとっかかりの部分の無い渋〜い曲を、無理矢理着うたにしようとするのだろう?





 47秒でワンコーラス収めるっていう手法は、作り手から見れば意外な新しさがあるし面白いんだけど、それを説明するのに「曲が長いのが流行ってのはもう古いんだ」という説明は弱いし、それがどのくらいユーザーに伝わるのか?っていうのがまったく見えないよねーと思う。

 だって、着うたはあくまで着信用で、着うたフルで曲を聴くのが普通なんじゃないのか? それともみんな着うただけで満足してるの?(もしそうだとしたら、すでに同じようなビジネスが立ち上がっててもおかしくなさそうだけど・・・) あまりにも同意しづらい内容なんで、「もしかして丸山氏は着うたと着うたフルを混同しちゃってるのかな?」と心配になっちゃうんですが。



 このインタビューでは、「着うたをどのように位置づけているのか」という点において、丸山氏の感覚が僕のそれと大きくズレていることがわかった。あとはこのサービスが成功するか否かで、僕の認識が世間と食い違っているのかどうかが判断できるのかな。

 現状では、いくらアーティストを拡充したとしても、初期の狙いどおり(47秒でワンコーラスという理由)で成功するとは到底思えませんです。だって、ユーザーから見たら結局普通の着うたサイトと同じ事やってるんだもんなあ。